| 2004/11/* 南台湾サーフトリップ<サーフトリップジャーナル偏> |
初冬の北風が冷たく頬に打ちつける11月の終わり、南台湾に向かう為、成田空港に乗り捨てた車にダウンジャケットを放り投げボードケースを引きずりつつエバー航空のカウンターで今回の旅のメンバーが集結した。まずは元グランドチャンピオンのジリ(沼尻和則プロ)、その弟子の茨城のトップコンペティターのヨシオ(小野嘉夫プロ)、カメラマンの青木氏とライターの真木氏、私、タイロン豊田の男5人の台湾紀行である。台湾と一口に言っても北は台北、南は高雄まで茄子を縦に置いたような形をして大きさは九州をちょっと小さくした位の島国である。近年航空会社の往来が盛んになり便の本数も増え、より身近になり、主要都市の台北は日本からの観光客も一番多く、特に最近はOLの「飲茶とエステ」ツアーが大人気らしい。今回は台北から南に500キロ弱、最南端の街、ケンティンを目指し、まずは高雄(カオシュン)国際空港までたったの4時間ちょっと。この気軽さも台湾の人気の秘訣だろう。飛行機を降りると、もあっとした空気に包まれここが亜熱帯地方であることを体感させてくれる。
高雄で我々一行を迎えてくれたのはアランサーフィンクラブのボス、アランと日本人のパートナーの山下タケさん。何度目かの滞在になる私は両氏との久しぶりの再会!8人乗りのワーゲントランスポーターに乗り込み、さらに南へ約2時間、ダイビングやジェットスキーなどマリンスポーツの盛んなリゾートタウン、ケンティン。 宿泊施設はなんとアランが経営するサーフショップの2階、3階部分がホテルになっている。タイルの床と硬いダブルベットが台湾式。もちろんエアコン完備でTVは80チャンネル位あって日本の放送がダイレクトに映し出され、地元の女の子がジャニーズに黄色い声を上げている。翌朝、地元ローカルのメンバーと共に車を走らせ5〜10分、南台湾のメインポイント、桂楽水(チャーロースイ)に到着した。ヨシオとジリは待ちきれんばかりに車から飛び降り波チェック。大きく開かれた海岸線が椰子の木の間から見えて来る。左側にはリーフと岩で形成されたグーフィーブレイク。中央に河口に繋がる三角波がレギュラー、グーフィーに白い波跡を残している。サイズはセットでカタ位の厚い波。 「まぁ〜とりあえずやりますか。」って感じで1Rサーフする事に。
初めての台湾サーフィンで何となく楽しそうだ。そう、楽しくもなる理由の一つはこの時期にトランクスでサーフできること。「今は真冬です。」と言うものの気温は30度近く、太陽はブルーの透き通った海と砂浜をじりじりと照らしている。桂楽水は最もポピュラーなポイントで、何人かのサーファーが既にラインナップしていた。
長袖タッパで一時間近く、肩慣らし程度にその地形を確認するかのようにワイドなトロメの波に大きなカットバックを繰り返していた。玉石とサンドで形成された海底は4フィート位までその姿を崩さないと言う。ここはビギナーでも充分楽しんで波乗りできるポイントでビジターサーファーのメインポイントとなっている。桂楽水でもう一つ訪れるべき場所はポイント近くにある「衝浪休憩所」である。衝波と書いてサーフィンと読む。つまりサーファーの為の休憩所でやさしいおばちゃんとその娘が美味しいランチを作ってくれる。台湾飯で満たされたお腹をゆっくりと横たえて、リラックスタイムはアランとローカルチームが手作りで建てたワラブキ屋根の休憩所。地面からヒザ位の高さに木の板を張り、高床式のベッドに天井は椰子の葉で覆い被せた四角錐の屋根が日差しをさえぎり中央に飛び出た木の根にハンモックを括り付けてついウトウトと・・・ 翌日は朝から違うポイントに車を走らせた。日本人の私たちは一切運転が出来ない。レンタカーが無いのと、交通事情が異なるのと何と言ってもローカルガイドが全てを把握している。日本人ガイドのタケさんは台湾在住10年のベテランサーファーで茨城出身と言う事でヨシオと仲良く遊んでる。ポイントの説明、通訳、レストランの予約から運転と、何から何までタケさん無しではこのツアーは成り立ちません。世話好き、人好きの本当に頼れる人柄はローカルサーファーと日本人ビジターのパイプ役に欠かせない人物だ。
ローカルサーファー達が大事に守っているポイントの一つが「南湾」ポイントだ。湾の右奥の小さなリーフにそって一定のリズムで規則的ななレギュラーの波がブレイクするのがここのポイントの特長だ。 外海よりも水質が透き通っていて気持ち良い。 波待ちしている私の足元にカラフルな模様の魚達が気持ちを和ませてくれる。 波はちょっと物足りないサイズだがヨシオのオフザトップが火を噴く! 「このボードで先月のオールジャパンプロ、優勝したんですよ。」むむ、いかにも調子良さそうな板ではないか、ズンズン走るしクルクル回る。ヨシオのサーフィンはその竹を割ったような性格からお分かりの通りとても気持ちよくタテのオフザリップが真っ直ぐに突き抜けてゆく。謙虚で素直なパーソナリティーはトッププロのヨシオが周りの皆に愛されてきた結晶だ。今回彼は幾つかのバレルライドを見せてくれた。ローカルのクク少年はヨシオのアクションを食い入るような眼差しで睨みつける。そして自分の意識の中で忠実に再現しようと波を追いかける。この一年でクク少年の波乗りは確実に上達した。年に一度訪れるプロサーファーとのセッションの夜は興奮して一睡も出来ないそうだ。
南湾はサイズは無いけど貸しきり状態のビーチブレイクはどこまでも広く、開放的な自由を与えてくれた。台湾はやっぱり食の国。昼夜問わず、食事所は人で溢れている。ホテルを一歩出ればケンティンのメインストリートでレストラン、屋台、お土産屋さんと100件以上連なり、どこも人、人、人。アランとローカルメンバーが私たちを招待してくれたのは海鮮料理の美味しいチャイニーズレストラン。伊勢海老、蟹の蒸し物、魚にあさりに刺し身まで出てくる、出てくる珍味の数々。台湾人の元気の源はやはり豊富な食のレパートリー。ヨシオとジリは夜のローカルセッションにも参加、地元の酒は透明なウォッカみたいな魔法水。アルコール58度のカウンターパンチにピロピロ状態でノックダウン!しかし翌朝スッキリした顔でボードを積み込む姿はやはりトッププロ。今回のお目当てのシークレットポイントにスェルが入ってきたようだ。このATポイントはローカルが温めてきたワンピーク、ライトのリーフ上質なレギュラーブレイクは潮周りさえ合えばテイクオフからチューブ、その後長く続くブルーのフェンスに皆、思い思いのラインを描いていた。

早朝のセッション、サイズはピークで4フィート位。沖にいるのはジリとヨシオと私だけ。剥き出しのリーフの上に掘れあがった波質は千葉の松部に似ている。さすがのローカル達も今回は見学側に回りVIDEOとカメラを行ったり来たり。
私は掘れあがったピークから何本かのチューブをメイクした。「タイロンさんのカービングがヤバイ」とジリ。テールを引きずるようなターンが波のフェイスを切り刻む。「スプレーの量がハンパじゃない」とヨシオ。ジリにほめられ(めったに無い)上機嫌の私は後でビールを全員に振舞ったのは言うまでも無い。
最終日の前日、ヘブンと言うポイントでサーフした。車の窓から身を乗り出しヨシオが「あれ見て!すげーグーフィー割れてるよ!」手前に岩のリーフをパドルで10分。沖合いにアラモアナのようなレフトポイント。
さてさて、沼尻プロの舞台の幕が上がりました。唯一のレフト、今回一番のサイズでピークはダブルオーバー。私とヨシオが苦戦する中ウルワツチャンピオンジリ様は鼻歌まじりにビハインドピークからとんでもないバレル!「ウソだろ」「まさか」の連続のジリ様オンステージ。波乗り一筋24年の私も格の違いを見せつけられた夕方セッション。東の空に真っ赤な夕日が沈む頃ジリの右手にはもちろん「アサヒスーパードライ」。
さて、私はと言うと昼間はのんびりサーフィン、夜は台湾式オイルマッサージにはまってリラックス。今回はなんと盲腸宣告の直後のトリップということで自重自粛の台湾セッションでした。
南台湾のサーフィン人口はまだ40〜50人程度で、その内アランのローカルサーフィンクラブは15人〜20人で活動している。ベストシーズンは9月の台風シーズンだそうだ。特筆すべき魅力が4点ある。まず
1.日本からの距離が近い。
2.ツアー料金、物価が安い。10万円あるとどれだけ滞在出来るのだろう
3.暖かい。真冬でもトランクスでサーフ可
4.何よりも人が居ない。ポイントがガラガラ。これ以上何が求められよう。
南台湾は私達にとても良い印象を与えてくれた。今回はサイズ的にも充分なスェルが入ってきて波質は保証できる。もし、あなたがここを訪れたいのなら必要な物はアランのガイドとリラックスしてサーフ出来る気構え、そしてローカルへのリスペクトの気持ちは忘れないようにしたい。又すぐにでも訪れたい場所、心から癒される南台湾。
ボードのサイズ:
沼尻 5.11 ドロップアウト
小野 6.1 ユーターン
豊田 6.0 アルメリック
必要な物:
トランクス、長袖タッパー、ベスト(寒がりの人はスプリング)
リーシュコード2本、夏用WAX、ウエットバック、日焼け止め、ビーチサンダル、リペアテープ、などなど。
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